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2024/05/14 21:52 |
由乃ん祭り・続編
今日も今日とて、由乃んを。

結構吐き出したせいか、ちょっと停滞気味です。

もうすぐ新刊も出ることだし。

盛り上がっていきたい・・・とは思ってます。はい。

半分以上が本編という事で。

進展はあるのでしょうかね(ドキドキ)







雪だるま  令由乃SS  ほのぼの





このSSに限り、フリー配布といたします。

お持ち帰りの際に、コメント等でお声がけ頂けると嬉しいです。

期間は今月いっぱい。




   ― 雪だるま ―







「ちょっと、令ちゃん」

「何、由乃?」



暖かい部屋の中。

コタツに入って編み物をしている令ちゃんは、顔もあげずに返事をした。



「これ」



由乃は日記帳をテーブルの上に広げて見せた。

令ちゃんが毎日のようにつけている日記。

令ちゃんは不思議そうな顔で、その広げられたページを見る。



「ああ。それね。

 昨日、由乃と雪合戦した時のことを書いたのよ」

「見れば分かるわよ」



令ちゃんたら、へらりと笑って。

嬉しそうに、得意げに、由乃の顔を見る。

もう。ボール拾ってきて、飼い主に褒めてもらいたくて仕方ない犬じゃないんだから。



「とにかく、この日記なのよ」











☆月□日 くもり



昨日から降り続いていた雪が積もっていた。

由乃と二人で外に飛び出して、雪合戦をする。

由乃ははしゃいで雪玉を投げてきて。

気がついたら、全身雪まみれになっていた。

びしょ濡れになって、少し寒かったけれど、心はとても温かい。

          ・

          ・

          ・

          ・









「外に飛び出して行ったのは、令ちゃんじゃない。

 私はそれに引きずられていっただけ」



そうなのだ。

寒いからと自分の部屋で本を読んでいた由乃を、令ちゃんがしつこくしつこーく雪遊びに誘ったのだった。

新刊を買ったばかりで、そっちに集中していたかったのに。

それに、この間雪が降った時、外に足跡をつけに出た由乃を追いかけてきたのは誰だったか。

風邪引いたらどうするのとか、霜焼けができたらとか。

令ちゃんのお小言で、渋々由乃は家の中に戻ったというのに。

昨日は令ちゃんの方から誘いに来て。

大方、この間無理やり由乃を家の中に押し込んだことを、あれこれ悩んだ結果なのだろうけれど。



「でも、随分熱心に雪玉投げてたじゃないの」



「本当は楽しかったんでしょう」と笑う令ちゃん。

令ちゃんの幸せそうな顔を眺めていると、なんだか申し訳なくなってくる。

機嫌の悪かった由乃が、一所懸命雪玉を投げていた理由。

気づいてないんだ、令ちゃんは。



「まぁね」



呆れとも感心ともつかないもやもやした気持ちを、吐き出す。

由乃の溜息くらいじゃ、すっかり温まった令ちゃんの脳みそを冷ますことなんてできやしないけど。

まぁ、雪合戦自体は楽しかった。

だから、それはこの際脇に退けておこう。

「はしゃいだ」という表現が間違っているということも、一緒に。



「あのさ。気がついたら全身雪まみれってあるけど」



この文章だけ見ていると、まるで由乃の投げた雪のせいでそうなったみたいだ。

でもそうじゃない。

本当のことは、その時一緒にいた由乃がよく知っている。

真相はこうだ。

はしゃいで雪玉から逃げていた令ちゃんは、足を滑らせて、頭から雪に突っ込んだ。

稀にみる大雪でよかったと思う。

そうでなければ、令ちゃんは顔面強打で鼻の骨を折っていたかもしれない。

運動神経が良い割に反応が遅かったのは、脳みそが溶けていたせいだろうか。



「令ちゃん、自分で転んで全身雪まみれになったんでしょう。

 ちゃんと書いておいてよ」

「嫌よ。思いだすたび恥ずかしいんだからさ」

「令ちゃんが書かないんなら、私が補足しておいてあげる」



テーブルの上に転がっていた赤いペンを手に取る。

令ちゃんは物凄い勢いで、自分の日記帳をひったくった。

おお、流石。

抜群の反射神経だ。



「令ちゃん、どうせ書くなら、そのあとのことも書いたら?」



令ちゃんが雪でびしょ濡れになったあと。

塗れた服を令ちゃんが着替えに行っている間に、由乃は雪だるまを作っていた。

小さな雪だるまを二つ。

手のひらサイズよりは大きいけれど、両手で持ち上げられるくらいの大きさ。

そして、出来上がったそれを、令ちゃんの家と由乃の家の間に置いた。



「ああ。由乃だるまと令だるま?」

「そのネーミングはどうかと思うけど」



二つの雪だるまは、まだ溶けずに残ってるけど。

たぶん日が差したら、あっという間にいなくなってしまうだろう。

仲良く並んでいる雪だるまに、ちょっと恥ずかしくなるような名前をつけたのは令ちゃんだった。

由乃は立ち上がり、窓から庭を見下ろす。

雪だるまは、寄り添うようにして、まだそこに佇んでいた。









令ちゃんと由乃。

二人の名前を持つ雪だるまが溶けても。

人間の令ちゃんと由乃は、ずっと一緒。




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2004/12/05 00:00 | Comments(2) | TrackBack() | SS

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コメント

ごきげんよう、相方さま!<br>ラヴいSSご馳走様です(笑)<br>早速ですが頂きに参上した次第にございます~(平伏)<br><br>ラヴい…ラヴいですね!<br>何か令さまの日記での可愛らしい行動がとってもツボでした(笑)<br>令さまのことだから由乃さんに恥ずかしい姿を見せたくないと日記にはあえて真実を書かないというのが何とも可愛らしくて…<br>それを見抜ける由乃さんもまたいい感じでした(笑)<br>てか、最後の雪だるま…<br>溶けても2人は一緒に激しく賛同です!(挙手)<br><br>ではでは、頂いて帰りますね?<br>ありがとうございました~また、向こうでお会いしましょう!
posted by 明日紀@うふふat 2004/12/06 22:51 [ コメントを修正する ]
ごきげんよう、相方さま。<br>お褒めの言葉を有り難うございます。<br><br>ラヴいですか!(笑)<br>そう言って頂けると、とても嬉しいですねv<br>あのチャットでのネタこぼしがきっかけで。<br>相方さまも頑張ったのだから、私も!と便乗させて頂いた次第にございます(笑)<br>お持ち帰り、有り難うございます。<br>すごく嬉しいです♪<br><br>ではでは、また某所にてお逢いしましょうね(笑)
posted by 響@緩みっぱなしat 2004/12/07 11:50 [ コメントを修正する ]

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